リモコンの気持ち

「悪いけど、俺の机に行ってくれる？」

出先の営業マンから会社に電話が入ります。

「はい、机、来ました」

「でさ、書類が右側にあって、その中にさ…」

「えーっと、これ、ですかね」

「あ、それそれ、それをね…」

なんて感じで、内勤の私は、リモートコントロール

されることが多々あります。

このリモコンの仕方、営業マンによって様々で

冒頭のように、行動順に指示する人もいれば

そうでない人もいます。

そうでない人はどう指示するかというと

やってほしいことの結論から先に言うのです。

「すみません、書類を作ってFAXして欲しいんですが」

とか

「わるいけど、値段を調べて、あとで連絡くれっかな？」

とか。

最初にゴールが見えるので、指示される身からすると

とても動きやすい。

この上手なリモコン電話の筆頭が、

若手の不動のセンター、Ｉさん。

もうダントツです。レベルが違う。

Ｉさんの電話での指示の仕方は実に明確で

淀みがありません。

それはもう、指示を受けるのが、楽しいくらい。

私も真似しようと、折に触れて挑戦するんですが

どうも上手くいかない。

若いのに、このリモコン技術、どこで習得したのだろう。

―なんて、いつも感心しながら、勉強させて頂いてます。

逆に、話を最後の最後の最後まで聞かないと

やるべき作業が判らない、実にスリリングな体験ができる方も

いらっしゃいます。

「〇〇Aのさ、パッキンでね、〇tの、5枚なんだけどもさ」

「はい」

「あれ、汚れちまってっかもしんないんけどさ。

　あんまり出ねーサイズだから。

　だから、言ってんだよ、前っから。

　社長ンとこ専用に置いてるみたいなもんですって。

　俺な、今、川鉄出っとこだからさ。

　悪いけど、それをさ…」

上手な落語を聞いてるみたいで

それはそれでとても楽しい。

販売促進課　奈良井