八百万の神
目の前にはリモコンがふたつあります。
ひとつはS社製、もう一つはアップル製。
S社製のそれは、当社にこのほど導入した
業務用の巨大なモニターに付属したものです。
その本体の質感と比較すると、あまりにも…。
一方のアップル製のそれは、これも当社で導入した
製品に付いてきたものですが、質感・デザインともに
優れているのは言わずもがな。
家電製品のリモコンだというのに妥協がありません。
それぞれの製品の価格差はおそらく、100倍。
リモコンの粗忽さは、それに反比例して100倍(わたし比)。
神は細部に宿る、といいます。
モノづくりの現場でよく聞く言葉です。
特に、ひとと機械との間を取り持つ「UI(ユーザーインターフェイス)」をないがしろにしては、やはりいけない。
その昔、日の出の勢いだったニッポンセイヒンが
凋落の一途をたどってしまうのはきっと
こんな風に神様が宿らなくなったからかもしれません。
日本には昔から「八百万の神」といって、そこらじゅうに
それこそトイレにも神様が宿っていたというのに。
このふたつの小さなリモコンは、手にするたびに
喜びと切なさとを覚えます。
ささやかながらモノづくりに携わる自分にとっての
おおいなるイマシメでもあります。
販売促進課 奈良井